今日は不妊カウンセラー・体外受精コーディネータ養成講座に出席しました。
最初は臨床心理士である白井幸子氏のカウンセリングの基礎の講座。
カウンセリングは、クライエント(患者さんなど)と共に考え、問題解決に向けて共に歩むことであって、決して批判的な意見を述べたり、価値判断をしてはいけない、とのことでした。
カウンセラーに求められる基本的な態度は、自分を格好つけたり、弱みを隠したりせず、誠実であること。
クライエントに出会った瞬間に相手のペースに合わせられるようにすることなど、教えて頂きました。
次の浅田レディースクリニックの培養士、福永憲隆氏からは、普段私たちがみることができない、培養室の仕事や採取された卵子、受精卵の分割の様子などを動画で見せて頂きました。
福永氏のクリニックでは、いずれカップルに自分たちの卵がどのような状態かパソコンなどで確認できるようにしたいとのことを言われていました。
ファティリティクリニック東京の看護師、田中裕子氏からは、所属するクリニックで不妊治療を受ける患者さんのアンケート結果を示して頂きました。
東京という不妊治療施設が豊富な地域ゆえか、クリニックを転々とする事実が明らかに分かったり、自然妊娠が可能な年齢が40~44歳と答えた患者さんが80%にものぼったということが印象的でした。
私が所属させていただいている中医薬研究会の会員である京都の健伸堂薬局 古村滋子氏は、カウンセラーとして日々の活動における漢方の取り組みと題して、薬局で相談をうける内容についてや、漢方が不妊治療においてどのような働きをするかなどを、実際の症例を提示しながらお話されました。
漢方の考え方については、西洋医学一辺倒の頭では理解が難しいところもあるかもしれません。陰陽論や五臓の働きなど、漢方独特な考え方を、少しでも分かりやすくという思いでお話して頂いていたと思います。
また、社会学を専門とする白井千晶氏からは、不妊患者からのアンケートから、不妊治療を受ける方々がどのような心理状況であるか、社会的立場は実際どうなのかなどをお話して頂きました。
まだまだ不妊治療を受ける特に女性にとって、職場での立場が難しい状態があることがアンケートによって生生しく感じられました。
そして、大手の会社や一部の自治体などでは、治療のために休みを取りやすくする制度や、経済的な援助を行う制度が取り入れられていて、社会的に不妊治療も認められてきているんだという明るい事実も見せて頂きました。
最後は、国際医療技術研究所の荒木重雄氏が、アニメーションによる不妊治療の流れの説明や、卵巣や子宮、精子などの働きの説明をしていただき、いつもながらその分かりやすさに感心してしまいました。
今や不妊症も社会的問題としてテレビでもよく取り上げられるようになりました。
治療も日々進歩しています。
しかし、人間の体は昔からそう変化しているわけではありません。
不妊治療は、医師の技量、培養士の技量、そして個人の妊娠力の三味一体型治療です。
どれも欠かせないものです。
最近の治療現場、医療知識について学べるこの学会への参加は貴重な経験です。
そして、私たちの薬局で出来ることは、少しでもその方の体調を漢方薬や生活養生で整えてあげることだと思います。
職種にかかわらず、不妊治療に携わる人は、みな一人でも沢山の人に赤ちゃんを授かってほしいと心から皆そう思っています。
そして、傷ついた心のケアをして、前を向いてほしいという願いでこの学会があると思います。
明日も開催され、沢山の方々が不妊治療とカウンセリングについて学んでいますよ~(私は明日は中医薬大学の授業を受けます・・・)。